外国に住む親との面会交流(テレビ電話システム)

2ff1b9b9fd6807a333a852c0157fb71f_s外務省は、今年6月、国際結婚が破綻したために、子どもが日本、親が外国と、離れて生活することになった親子間の面会交流で、インターネットを利用したテレビ電話で面会交流をすることができるシステムを導入しました。

 

両親が合意すれば、自宅で、個人のパソコンやスマートフォンを利用して面会交流を行うことも可能になります。

 

平成26年4月、日本においてもハーグ条約が発効したことから、外国で生活する親が、日本で生活する子どもとの面会交流を希望した際、外務省に面会交流の援助申請をすることができるようになりました。

 

ハーグ条約についての説明はこちらかどうぞ

 

実際に、昨年度の面会交流援助申請は69件ありましたが、日本で子を監護している親がDV被害者である等の事情で、面会交流を実現することが困難なケースもみられたとのことです。

このシステムは、子どもを連れて日本に帰国した親が、面会交流を希望する側の親から婚姻中DVを受けていた場合など、直接の面会や立ち会いが当事者間で不可能な場合を想定しています。

 

面会交流中の親子の会話は、第三者(家庭問題情報センター(FPIC)などの面会交流支援機関)がモニタリングし、面会交流をしている親の側から、現在子どもを育てている親に対する悪口等不適切な発言があった場合には、通話が遮断されます。

 

面会交流は、基本的には離れて暮らす親子が定期的に交流することによって、子どもの利益になるものですが、DV事案の場合や両親間の感情的な対立が深い場合などに、当事者間でうまく実施することができず、面会交流調停などの紛争となってしまうことは少なくありません。

 

面会交流をテレビ電話で行うというシステムは海外にもあまり例がないということですが、子どもに負担を与えることなく、面会交流を実現することができるシス
テムとして、国内の面会交流でも導入される余地もあります。
実際の運用状況を注視していきたいと思います。


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