韓国人との離婚相談

当方は日本人で、韓国人との離婚を考えています。
私たちは、日本と韓国の両方に婚姻届を提出しています。
相手との間には幼い子どもがいます。子どもは韓国と日本の両方に国籍を有しています。
相手のビザが今年中に切れてしまうため、離婚を早く成立させたいです。

 

Q1.離婚が成立する前に、相手のビザがきれてしまって相手が韓国に戻ってしまった場合、どういった手続を踏むべきでしょうか?

A) まず、相手のビザが更新できないかどうか確認しましょう。

相手のビザが更新できずに韓国に戻らざるを得なくなってしまった場合、離婚協議で話合いがまとまれば、相手が韓国に帰ってしまっても離婚届にサインをもらい、それを役場に提出することで、日本での離婚は成立します。

もし、協議で離婚の話がまとまらなかった場合、調停や訴訟といった手続をとらなければ、離婚は成立しません。

しかし、相手が韓国に住んでいると、原則的には相手が住んでいる韓国でしか離婚訴訟をすることができなくなってしまいます。いわゆる「国際裁判管轄」の問題です。

この場合、あなたが韓国まで出向き、韓国の裁判所に出廷したり、また現地の弁護士に依頼したりしなければならなくなるなど、あなたの負担がとても大きくなってしまいます。

そこで、例外的に貴方が相手に遺棄された場合、相手が行方不明の場合、その他これに準ずる場合(最高裁昭和39年3月25日判決参照)には、貴方の住所地である日本の裁判所にも管轄が認められます。

しかし、この例外が認められるのはかなり難しいのが実情です。

 

 

Q2.日本の役場に離婚届を提出した場合、韓国での離婚の効力はどうなりますか。

A) 日本の役場に離婚届を提出した場合、日本での離婚の効力は生じますが、韓国で離婚の効力がただちに生じるわけではありません。

韓国で離婚の効力を発生させるためには、韓国の家庭法院の確認を得たうえで、韓国の役場に離婚届を提出することが必要になります。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

Q3.相手と離婚した場合、子どもが日本と韓国の両方に国籍を有したままでい続けることはできますか。

A) 貴方が離婚しても、お子さんは日本と韓国の両方に国籍を持ったままでいることは可能です。

貴方が離婚しても、子どもにとってはあなたと相手がお子さんの親であることに変わりはないのです。

ただし、日本の法律では、お子さんが22歳になるまでに、どちらの国籍とするか選択しなければなりません。

他方、韓国の法律では、女性は20歳から22歳の間までに国籍を選択する必要があります。仮にこの期間に韓国国籍を選択しなかった場合、韓国国籍を自動喪失することになってしまうので注意しなければなりません。

他方、男性は18歳になる年の3月までに国籍離脱の手続をとらなければ、37歳まで韓国国籍を離脱することはできません。韓国では、兵役義務との関係で、男性については国籍を選択できる期間が複雑になっていますので注意が必要です。

このように、韓国国籍に関しては、手続が複雑化していると同時に、韓国国籍を欲していても期間内に手続を踏まなければ韓国国籍を喪失してしまう危険があります。

他方、日本国籍については、22歳までに日本国籍を選択しなかったとしても、自動的に日本の国籍を失うことはありません。

 

 

Q4.相手から養育費をもらうことを考えています。日本で養育費についての取り決めを公正証書にして残した場合、相手が韓国に帰ってしまったとしても強制執行をかけることは可能ですか。

A) 韓国で公正証書を作成しておく必要があります。

①前提―強制執行認諾約款付き公正証書とは?
養育費等の金銭の支払に関する約束について、強制執行認諾約款付きの公正証書にして残しておくと、相手が約束どおり支払わなかった場合、その公正証書を使って相手の財産に強制執行をかけることが可能になります。

②相手が韓国に戻ってしまった場合
残念ながら、相手が韓国に帰った場合、日本で作成した公正証書を元に相手の財産に強制執行をかけるのは困難です。
もし、相手が韓国に帰っても強制執行をかけることができるようにしておきたいのであれば、韓国で公正証書を作成しておく必要があります。

もっとも、この場合でも、相手の保有財産や勤務先など、強制執行をかける対象についての最低限の情報は必要です。

 

 

 



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